手術
朝6時起床。
入院5日目の今日も特に決まった予定は無かった。
私自身は検査と抗癌剤治療方針の決定が目的の入院なので手術を受けるわけではないのだが、私が入院しているのは外科の病棟なので、回りには手術を受けた人がたくさんいる。
私のいる6人部屋では、他の5人は皆手術を受けている。
今までの人生で、3歳のときに盲腸の手術を受けたことがあるが、その時の記憶はほとんど無いし、それ以外は手術とか入院等ということとは無縁に過ごしてきたので、手術後の実態というものを知らなかった。
妻が股関節の手術を受けたことがあり、術後痛みに苦しんでいたが、それは女性だからであり一般的なものではないと思い込んでいた。
私の中の手術のイメージといえば、せいぜいドラマやマンガの中の手術のシーンによって形作られている。
日本のドラマでは、患者はみな手術前にはとても苦しんでいて、手術中は執刀医が様々な困難に直面しながらも見事な手腕でそれを乗りきり手術を成功させる。
手術が成功してしまえば、次のシーンでは患者もその家族もみな笑顔。
お礼をされた執刀医は「いやいや、ご本人の生きようとする力が...」なんてコメント。
手術なんてそんなものかと思っていた。
ところが、実際にはそんな生易しいものではなかった。
手術した部位にもよるのだが、同室の皆さんは総じて痛みに苦しんでいて、鎮痛剤無しに眠ることは難しそうな様子。
特に開腹手術で内蔵にメスを入れた人は、本当に辛そうだ。
術後2~3日は痛みで唸っている人もいる。
私の場合は手術をすることで得られるメリットが小さいので手術はしない。
言い方を変えると、手術をしても手の施しようが無い状態ということなので、本当は手術ができた方が良いのだろう。
それでも回りの人の辛そうな様子を見るにつけ、手術がなくて良かったなどと思ったりする。
イギリスのグラスゴーで行われている体操世界選手権男子個人総合で内村航平が前人未到の6連覇の金メダルに輝いた日の夜。
残り175日。